自己破産で退職金はどうなる?「8分の1払えない」の意味と実務対処法をやさしく解説

自己破産で退職金はどうなる?「8分の1払えない」の意味と実務対処法をやさしく解説

自己破産相談弁護士

この記事を読むことで分かるメリットと結論

まず結論から:退職金は「場合によっては差押え・配当に回ることがあるが、必ず全部取られるわけではない」。記事を読むと、退職金が自己破産手続でどのように扱われるか(免責・非免責の違い)、実務で「8分の1払えない」と説明されるときの意味、差押え回避の実務的な手順、法テラスや弁護士に相談する際の準備と費用感、そしてあなたのケースで考えるべき選択肢(自己破産以外の方法を含む)が具体的にわかります。困っているなら、まず落ち着いて資料を整理し、専門家に相談する準備をしましょう。



1. 自己破産と退職金の基本を知ろう|どんな仕組みがあるのか

自己破産は、原則として「債務を清算して免責(借金の支払い義務を免れる)」を受ける手続きです。ここで大事なのは、「破産手続で対象になる財産(破産財団)」と「免責の可否(個別債務の免責)」が別の概念だという点。退職金は、その性質(既に請求可能か、将来受け取る権利か)によって扱いが変わります。

- 退職金の性質と差押えの一般ルール
退職金は会社から将来支払われることが多い「給付」であり、支払い時期や受給権の発生条件によって「差押えできるか」「破産財団に属するか」が分かれます。既に受け取った退職金や、受給権が既に確定している場合は破産財団に含まれ、配当に回る可能性があります。一方、将来に向けた未確定の請求権は、手続や裁判所の判断次第で対象外になることがあります。

- 自己破産手続の目的と流れ(概略)
破産申立→破産管財人が財産を調査・換価→債権者に配当→免責審尋(免責不許可事由がないか)→免責決定(借金帳消し)。同時廃止か管財事件かで、財産調査の厳しさは変わります。重要な点は、退職金が「換価の対象(配当に回る)」かどうかは、管財人の判断や裁判所の運用で変わることです。

- 免責と非免責のポイント:退職金はどうなる?
「免責」は債務の返済義務そのものを消すことで、個別債権の免責性は破産法上の判断に基づきます。退職金が既に支払われて銀行口座にある場合、その金銭は破産財団の一部になり得ます。一方、受給権が将来に発生するだけで現時点で換価が困難な場合は、配当に回らない場合もあります。つまり「いつ・どのように」受け取るかがカギです。

- 「退職金が8分の1払えない」という表現の実務的意味
実務の現場で「8分の1払えない」と言われるケースがあります。これは法律の定める明文規定というより、実務上の目安や計算方法に由来する説明です。たとえば、退職金算定方法や勤続年数に応じた換算を行い、債権者に配当できる「配当可能額」を一定割合に設定して説明する際に出てくる言い回しです。重要なのは、その数字が「絶対値」ではなく、管財人の評価、裁判所の判断、会社の支払い時期、就業規則など多数の要因で変わる点です。

- 退職金が保護されやすいケース/保護されにくいケース(典型例)
保護されやすい:受給権が将来に確定する性質で、現時点で換価困難な場合。保護されにくい:すでに受領済みの退職金や、受給権が既に確定していて会社に対して支払い請求できる場合。また、会社の確定拠出年金や企業年金など制度の設計によっても扱いが異なります。

- 裁判例の読み解き方と実務への落とし込み
裁判例はケースごとに事情が異なるためそのまま適用はできませんが、退職金の「受給権の確定性」「支払い時期」「生活保障の観点」で判断される傾向があります。一般論としては、「生活の再建を優先する観点から全部没収されることは稀だが、一定の配当が行われる可能性はある」と覚えておきましょう。最終判断は裁判所・管財人次第です。

2. 実務的対処法:退職金と自己破産に備える具体策

ここでは、実際に自己破産を考える人が取るべき行動を、ステップごとに整理します。書類の準備や相談の窓口、弁護士へ相談する際のポイントまでカバーします。

- 2-1 申立て前に必ず確認する点リスト
1) 退職金の受給権が「既に確定しているか」または「将来に確定するか」
2) 退職金の制度(企業年金、確定給付、確定拠出、退職一時金)の種類と支払条件
3) 退職金が振り込まれる口座の名義と残高(受領済みの場合)
4) 会社の就業規則・退職金規程(受給条件・勤続年数の算定方法)
これらは弁護士や管財人が評価する際に重要な証拠になります。

- 2-2 退職金の影響を正しく把握するための資料と整理法
具体的には、直近の給与明細、源泉徴収票、就業規則の退職金規程、年金制度の明細(企業からの説明書)、退職金の計算書(もし会社が発行するなら)、銀行通帳(受領済みであれば入金履歴)。これらを時系列で整理して、受給権の発生時点や金額の根拠を示せるように準備しておきましょう。

- 2-3 どの手続きが自分に適しているかの判断基準
自己破産(支払不能の清算)か、個人再生(任意整理に近い形で生活を再建する)か、それとも任意整理か。目安は次の通り:借金の総額・資産(特に退職金見込み)・収入見込み・住宅ローンの有無。退職金が大きく、これを守って将来生活を維持したい場合は個人再生や任意整理が適する場合があります。一方、支払不能で生活再建を最優先するなら自己破産が早い解決になります。

- 2-4 債権者との交渉のコツと落とし穴
自己破産申立前に債権者と交渉する際は、安易に「払えない」旨だけ伝えると、電話や内容証明で圧力をかけられたり、差押えを受けることがあります。重要なのは「証拠を整えること」と「専門家を入れて交渉すること」。弁護士が受任通知を出すと債権者は個別の取り立てを止めるため、有利に交渉が進むケースが多いです。

- 2-5 公的支援機関の活用法(法テラスの使い方)
法テラス(日本司法支援センター)は、収入に応じて無料の法律相談や民事法律扶助の支援を行っています。まずは法テラスで相談予約を取り、初期的な法律相談を受けてから弁護士紹介や費用援助の可否を確認するのが現実的です。利用条件や申し込み方法は法テラスの窓口で確認しましょう。

- 2-6 弁護士・司法書士に依頼する際の費用感と依頼のタイミング
費用は依頼内容によるが、自己破産事件で弁護士に頼む場合、一般に着手金(数万円~数十万円)+報酬(総合で20万~50万円程度が目安)+裁判所費用がかかることが多いです(個別差あり)。司法書士は簡易な手続に限定されることが多く、代理権の制限もあるため破産手続を丸ごと任せるなら弁護士が安全です。重要なのは「早めに相談すること」。差押えが入る前に対応できると選択肢が増えます。

3. ケース別ペルソナに沿った実務的アドバイス

ここでは、先に設定したペルソナごとに、退職金の扱いと取るべき実務対応を具体的に解説します。

- 3-1 ペルソナ1(40代サラリーマン):退職金と差押えの現実的対処
40代で会社員、退職金がそこそこ見込める場合、まず就業規則の退職金規程を取り寄せてください。勤続年数や退職理由で退職金の確定額が変わるなら、それを見越して個人再生や任意整理で再建を図るメリットが大きいです。もし自己破産になった場合、退職金の受給権が確定していれば配当に回る可能性があるため、給付がまだ先であれば自己破産が有利になる場面もあります。具体的には弁護士と相談し、会社に請求できる状態か(既に退職して給付請求が可能か)を確認してください。

- 3-2 ペルソナ2(30代・女性・育児関連):家計と退職金のバランス
夫が主債務者で退職金が夫名義にあるケースなど、家計全体の見直しが必要です。夫婦の財産分離や家計の収支を整理して、夫の退職金受給権が債権者に影響するかをチェックします。専業主婦やパート勤務で収入が少ない場合、法テラスの無料相談や支援制度を活用してまず情報と選択肢を整理するのが賢明です。

- 3-3 ペルソナ3(50代・自営業):事業と退職金の取り扱いの両立
自営業者は退職金制度がないケースが多いですが、会社を経営していて役員退職金が見込める場合は、その規程や会社資産の扱いが重要になります。会社の資産と個人資産の分離が不十分だと、管財人が会社資産との関連を調査し、配当に回るリスクが高まります。税理士や弁護士と早めに相談して資産の流れを整理しておくとよいでしょう。

- 3-4 ペルソナ4(若手・新社会人):将来の選択肢としての自己破産の意味
若手でまだ退職金の話が現実味を帯びない場合は、自己破産は最終手段として考えるべきです。まずは任意整理や返済計画の見直し、収支改善を試みてください。退職金が将来にわたって見込める場合、それを守るために早めに相談して選択肢(任意整理や個人再生)を検討する価値があります。

- 3-5 よくある質問と回答(Q&A)
Q: 「退職金は全額没収されますか?」
A: いいえ。全額没収されるとは限りません。受給権の確定性や支払時期、会社制度の種類により扱いは変わります。
Q: 「会社に請求できる状態で差押えられたら?」
A: 債権者が差押えをする場合、会社が支払う退職金に対して差押えがかかることがあります。発生前の受給権か、既に請求できる状態かで対応が異なります。弁護士に相談しましょう。

- 3-6 実務上の注意点と避けるべき落とし穴
- 債権者からの直接交渉に恐れて秘密裏に資産を移す(贈与や名義変更)ことは違法行為になり得ます。
- 受任通知を出さずに個別対応を続けると差押えが入るリスクが高まります。
- 「8分の1」といった業界用語を鵜呑みにせず、根拠を確認すること。

4. 手続きの道筋と専門家の活用ガイド

実際に申立てをする場合、どのような手続きとタイムラインになるか、必要書類や専門家選びのポイントを具体的に示します。

- 4-1 破産申立ての具体的な流れとタイムライン
概ねの流れ:相談(1回)→申立準備(1~2週間~数か月)→地方裁判所への申立→開始決定(数週間~)→管財人選任(管財事件の場合)→財産調査・債権調査(数か月)→配当手続→免責審尋→免責決定。手続き全体で数か月~1年程度かかることがあります(事案により前後します)。同時廃止事件は比較的短期間で終わることがあります。

- 4-2 財産調査・財産分配の基本プロセス
管財人が財産の調査・換価を行い、債権者へ配当するかどうかを決めます。退職金が配当に回るかは、換価可能性と受給権の確定性がポイントです。管財人は会社や年金制度に照会して実態を確認することがあります。

- 4-3 退職金の取り扱いを左右する提出書類の準備
就業規則(退職金規程)、退職金の計算書、勤続年数を示す書類(雇用契約や給与明細)、企業年金の加入状況を示す書類、銀行通帳、源泉徴収票などを揃えておきましょう。これらは管財人や裁判所とのやり取りで必須になります。

- 4-4 公的支援の活用:法テラスの無料相談の活用方法
収入要件を満たせば法テラスの初回無料相談を受けられ、さらに弁護士費用の立替制度(民事法律扶助)の対象となることがあります。まずは法テラスに電話かウェブで相談予約を取り、必要書類を持参して窓口で相談してください。

- 4-5 専門家の選び方:弁護士 vs 司法書士、費用の目安
- 弁護士:破産手続全体の代理、裁判所での弁護、免責交渉などが可能。費用目安は20万~50万円(事案の複雑さで上下)。
- 司法書士:簡易な債務整理や書類作成が中心で、破産手続など代理できない範囲があります。
選ぶ際は、破産事件の経験、初回相談での説明のわかりやすさ、費用の内訳(着手金・報酬・実費)を確認してください。東京弁護士会や地元の弁護士会の相談窓口を利用するのも有効です。

- 4-6 申立後の生活設計と再起プラン作成のヒント
破産後は信用情報の登録(5~10年程度)や職業制限の可能性(一定の職種)に注意しながら生活再建を図ります。生活費の見直し、再就職・副業の検討、必要なら就業支援の活用を。再起のためのプランは、家計の収支表を作って短期・中期・長期目標を設定するのが現実的です。

5. 体験談とよくある誤解を解くまとめ

ここでは実務経験に基づく匿名化した体験談と、誤解されやすいポイントを整理します。実例を交えて、冷静に次の一手を考える手助けにします。

- 5-1 体験談(匿名・実務寄りの事例紹介)
私が関わった事案で、50代の会社員Aさんは退職を目前に借金問題が浮上しました。退職金規程は明確に算定式があり受給権が確定する状況でした。管財人は退職金請求権を資産として評価しましたが、生活再建の観点から一部は債権者への配当に回る一方で、一定の生活費相当分は保護されました。弁護士と早めに相談して受給時期の調整や交渉をした結果、本人の生活は確保され、債権者への配当も合理的な範囲で収まりました。重要なのは「放置しないこと」と「証拠を揃えること」です。

- 5-2 退職金と自己破産に関する誤解トップ3と真実
誤解1:「退職金は絶対に守られる」→真実:守られる場合もあるが、受給権や受領済みかで異なる。
誤解2:「破産すれば退職金も全て没収される」→真実:必ず全部没収されるわけではない。事情に応じて配当の有無が決まる。
誤解3:「弁護士に頼むと退職金が全部取られる」→真実:専門家を入れることで結果的に生活を守りつつ合理的な解決になるケースが多い。

- 5-3 免責を受けるための現実的な準備
免責を得るには、破産法上の免責不許可事由(詐欺的行為、浪費、財産隠匿など)に該当しないかが審査されます。故意に財産を隠したり贈与した履歴があると問題になります。したがって、過去の資産移動は透明に説明できるようにしておくことが重要です。

- 5-4 代替案としての民事再生・個人再生の考え方
退職金を守りたい場合、個人再生は住宅ローンを残しつつ借金を圧縮できる手続きとして有効です。ただし、一定の収入と返済可能性が必要になります。民事再生・個人再生は手続きが複雑なので、専門家と相談の上、メリット・デメリットを比較してください。

- 5-5 今後の見通しと読み手へのメッセージ
法律や裁判例は更新されますし、個別事案の事情で結果は大きく異なります。まずは冷静に資料を整理し、法テラスや弁護士に相談して、あなたにとって最善の選択肢を一緒に検討してください。早めに動くことで選択肢が増え、生活再建も現実的になります。

- 5-6 よくある質問と追加のリソース(FAQ)
Q: 「会社に退職金規程がないとどうなる?」
A: 会社に規程がない場合、就業実態や過去の支払実績で計算されることがあるため、給与明細や過去の退職金支払い事例を確認して証拠を集める必要があります。
Q: 「差押えが入ったらどうすればいい?」
A: 速やかに弁護士に相談し、差押え解除や債権者との交渉を進めることが優先です。

6. 最終まとめ:ポイントの整理とあなたが今すべきこと

- 要点まとめ
1) 退職金は受給権の確定性や支払時期で扱いが変わる。
2) 「8分の1払えない」は実務上の目安で、法律上の固定比率ではない。
3) 申立前に資料(就業規則、給与明細、年金書類)をそろえることが重要。
4) 法テラスや弁護士を早めに活用すると選択肢が広がる。
5) 故意の資産隠匿は厳禁。透明性を保つこと。

- 今すぐできるアクション(チェックリスト)
- 就業規則(退職金規程)を会社に請求してコピーを入手する。
- 直近3年分の給与明細・源泉徴収票を整理する。
- 銀行通帳に退職金受領の履歴がないか確認する。
- 法テラスで初回相談の予約を取るか、弁護士の無料相談を利用する。
- 債権者からの通知や差押え書類は受け取ったらすぐに保管し、専門家に見せる。

自己破産の流れを丁寧に解説|法テラスを活用した手続きと費用の実務ガイド
最後のひとこと:情報は力です。一人で抱え込まず、まずは資料を整理して相談窓口を頼ってください。適切な助言を得れば、退職金も含めた生活再建の道筋は立てられます。まずは「何があるか」を可視化することから始めましょう。質問がありますか?気になる点があれば、具体的な状況(受給権の有無、受領済みか、退職時期など)を整理して相談窓口に伝えてください。

参考・出典(記事内で根拠にした主な公的情報・参考資料)
- 日本司法支援センター(法テラス)公式ページ(破産・債務整理に関する案内)
- 裁判所「破産手続の案内」ページ(破産手続の流れに関する説明)
- 破産法(日本国)および民事執行法(差押えに関する規定)に関する条文解説ページ
- 日本弁護士連合会および各地の弁護士会の債務整理ガイドライン・費用目安の公開資料

(上記出典は、最新の法令や運用を確認するために法テラスや弁護士にご相談の際の参照元として有用です。実務は個別の事情で大きく変わりますので、最終的な判断は専門家へ相談してください。)